クリスマス・ソング アーネスト ベイツ(著)福武文庫 の書評・感想 2022.01.15 カテゴリー1 大学時代、ゼミで読んだ作品。平明で簡潔、まさに教科書的な良品というところ。短編集で私のお気に入りは表題の『クリスマス・ソング』と後半に出てくる『ロスト・ボール』という作品。ベイツはイギリスでは多作で国民的作家らしいのだけど、日本ではほとんど知られていない。母国でウケるけど他国でウケない、ある
遥るかする、するするながらIII/よき・の・し 山本陽子 の書評・感想 2022.01.15 カテゴリー2 私がことばについて語ろうとするとき、詩人・山本陽子は避けて通れない。声なきものの声、ことばにならない思いを表現することが作家や詩人の本来の仕事だと思い出させてくれる。まったく意味はわからないけど、これをいわずにいられない切実さだけがなぜかたしかに伝わってきて涙が出そうになる。
無関心な人びと アルベルト・モラヴィア (著), 大久保昭男 (訳) Kindle の書評・感想 2022.01.15 カテゴリー1 モラヴィアといえばバブルのころ今はもうなくなった青山ブックセンターによく在庫が並んでいた記憶があって、オシャレ系で意味も分からず小脇に抱えて文学をわかった風を装うみたいな、そんな作家という印象があった。彼の『軽蔑』という作品をゴダールが映画にしたりしてやっぱりちょっとハイセンスな感じ。
愛人 ラマン マルグリット・デュラス(著) 河出文庫 の書評・感想 2022.01.15 カテゴリー1 とかく性愛部分だけが取りざたされてスキャンダラスに語られることの多いこの作品。ただ許容するにせよ拒絶するにせよ、感情的に揺さぶられているだとしたらそれは作家デュラスの腕がたしかだということだろう。ノーベル賞作家のバルガス=リョサが『若い小説家に
北回帰線 ヘンリーミラー(著) 新潮文庫 の書評・感想 2022.01.15 カテゴリー1 なにかを書きはじめようとするときいつも思い出すのはミラーのことば。“ぼくは諸君のために歌おうとしている。すこしは調子がはずれるかもしれないが、とにかく歌うつもりだ。諸君が泣きごとを言っているひまにぼくは歌う。諸君のきたならしい死骸の上で踊ってやる。”劣情にまかせて書き散らし、推敲のあ